キーーーーーーーーーン キィン、キーーン、キンッ 麗夢と夢魔の剣が幾重にも交わる。 キーーーン パキン！ 麗夢の光の剣(ビームソード)が折れる。 「くっ」 麗夢が距離をとる 「させるかっ」 夢魔が距離をつめ、斬りかかる。 キィン 「んっ」 折れたはずの剣が元に戻っている。 麗夢は夢魔の剣をその剣で受けとめた。 一瞬で剣を復元したのだ。 麗夢は剣を何度折られても、その度に新しい剣を具現化し、応戦した。 周りには麗夢の剣の残骸が数え切れないほど散らばっていた。 ざくっ 不意に夢魔はあらぬ方向から斬撃を受けた。 ざくざくざくっ 麗夢は剣を構えたまま。 突き刺さった剣を見ると、 それは間違いなく麗夢の剣だった 麗夢が折れた剣を操り、夢魔を攻撃したのだ 「ちっ小癪な真似を」 「そんなにたやすく折れるなんておかしいと思わなかったの？」 麗夢が笑いかける。 夢魔もそれに答え、微笑んだ。 「はっ、同じことを何度もいわせるんじゃないよ。」 夢魔によって麗夢の剣が消されてしまう 「この程度で買った気になるなんて甘いね」 「それはどうかしら？」 麗夢のほほえみは消えない。 ざくざくざくっ 「ぐっ？！」 何かが夢魔の体を切り裂いた 「あら？どうしたの？」 麗夢のおどけた台詞に、夢魔は怒りをあらわにして睨み返す。 「残念でした。あたしの剣は消えていないわ！」 ざくざくざくざく！！！！ 夢魔は剣を認識していないが麗夢は認識している。 夢魔にとっては存在しないが麗夢からみれば確かな存在なのだ。 麗夢の剣は夢魔を攻撃しつづける 夢の中の物質は麗夢か夢魔かどちらかが認識していれば存在を確立する 麗夢の夢には剣は確かに存在している。 夢魔の夢にはもう麗夢の剣は無い。 麗夢と夢魔は、どちらが、どちらの夢の中にいるのだろう？ いいこと？キティ？ 夢をみたのはわたしか赤の王様かどちらかにちがいないのよ もちろん赤の王様はわたしの夢の一部分だったわ でも、わたしもやっぱり、あの人の夢の一部分だったのよ 夢魔は麗夢の剣を防ぐこともかわすことも出来ず、 悲鳴をあげることもできずに、 ただただ、貫かれ続けるしかなかった。 剣がつきささり、 剣が体を貫き、 新しい剣が突き刺さるときには、そこに刺さっていた剣はすでに消えている。 また新しい剣が突き刺さったときは、そこに刺さっていた剣を通り抜け、さらに深く突き刺さる。 剣の舞。 剣がぶつかり合うその曲は、かの名曲を奏でていた。 麗夢が剣の嵐を止めたとき、夢魔はもうその姿を留めては居なかった。 体中から剣が生えているかのように、そこには人の大きさをした剣の山ができていた。 終わった？ 麗夢は半信半疑ながらも緊張を解かなかった。 「ふふふ」 麗夢の不安通り、夢魔の気配は以前の強力さはなくとも、完全には消えていなかった。 それどころか、不気味に笑いかける。 「ふふふ…やられたわ。 　とても痛かった。苦しかったわ。」 剣が消え、夢魔がその姿を取り戻す。 「でも、これくらいじゃ、まだ死ねない。」 その眼光はいっそう鋭く、麗夢を射抜く。 「くっ、しぶといわね」 麗夢が舌打ちする。 二人は再び剣を構え向かい合う。 「え？」 夢魔が麗夢と同じ剣を構えていた。 「たっ！」 気合いとともに夢魔が一瞬で間合いを詰める。 「はっ！」 一瞬ひるんだ麗夢も、すぐに気合いを込め、夢魔の剣を受ける。 キーン、 キンッ！ キキン！ 二人の剣がぶつかり合う。 どちらも聖剣。 剣が交わる度に、 聖なる鐘のように響きあう 剣と剣が奏でる 賛美歌のように響く お互い、自分の主を称える曲を奏でる だがそれは同じ曲にしか聞こえない いや、同じ曲なのだ。 賛美歌は麗夢の力を増大していった。 夢魔が主を称えるために奏でた曲は、 麗夢の力がその持ち主を称えるために奏でた曲は、 麗夢の能力を、以前とは比べようもないほど強大にしていた。 麗夢はそれの意味することに気づいてしまった。 夢魔の言う通り、麗夢の力の元は、 「そうだ。いまのきさまならわかるだろう。 　わたしが剣に込めた祈りが、主の力を呼び覚ましたのだ。 　きさまの力は！ 　主の御力をかりているにすぎないのだ！」 「で、でも、あたしの力をこれだけ増大させてしまったら、 　あなた自身の命も危ないじゃない？」 「ふふ、おまえが心配することはない。 　主の力がわたしを傷つけることはないのだから」 夢魔が始めて剣を構えた。 夢魔の剣がまぶしく輝きを放つ 「わたしは主の過ちを抑え、正すために、 　主からこの聖剣を賜ったのだ！」 神々しく輝く。 聖なる輝きを纏う。 まさしく聖剣。 「麗夢、所詮きさまの聖剣はレプリカでしかない！」 剣はますます清らかさを増す。 まぶしくて直視できない。 麗夢も剣に力を込める。 麗夢の力がこれだけ強力になればどんな攻撃も防げるはず。 だが、麗夢が力を込めたとたん、 夢魔の聖剣は爆発的に光を増した。 その光は剣の刀身を延ばすように、どこまでも延びていった。 「そ、そんな？！」 麗夢は死を覚悟した。 夢魔が剣を振り下ろす。 その聖剣の真名とともに 「　エ　ク　ス　カ　リ　バ　ー　！　」 キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン 麗夢は光に呑みこまれ、消えさった。