キーーーーーーーン 耳をうつような、金属が響きあうような音。 そんな美しい、神々しささえ感じるような、そして爆発のような大音響。 まぶしくて目を開けていられない。 いや、目は閉じていないのに何も見えない。 周りも、自分の手さえも光にのみこまれて見ることができない。 光の闇。  ・  ・  ・ 光が止んだそこには巨大なクレーターができていた。 その中央。深い深い底に夢魔はいた。 ここからじゃクレーターの端、地面は見えない。 何百年ぶりかというのに、相変わらず凄まじい破壊力だ。 麗夢が夢魔の攻撃を受け、消えた。 少なくとも、麗夢の気配は感じられない。 夢魔は麗夢の夢の跡を探した。 どこかに麗夢の「夢(意思)のかけら」でも残っていればそこから復元されるかもしれない。 麗夢が消えたのなら、麗夢の夢に封じられてた夢魔はどうなるのか? 夢魔の考えでは、麗夢だけが消えて、封じられていた夢魔は開放されるはず。 現実の死とは違い、麗夢の意識、意思や、自我のみが消えるはず。 人間の考えでは封じられていた夢魔も消えるとなっている。 だが夢魔は、自分の主がそんな簡単に消えるとは考えられなかった。 絶対、主は戒めから解かれ、再びその強い意志で、全ての者を恐怖で包んでくれると。 そう信じていた。 だが、何も残っていない。 麗夢はかけらさえも残っていない。 にも関わらず、先ほどまで感じられた主の存在までもが消えている。 ・・・・ まさか、逃げおおせたのか? いや、逃げられるはずがない。 聖剣を打ち下ろした速度は光速をも超えていたはず。 麗夢がいくら自分の反射速度を高めつづけたとしても間に合わなかったはず。 麗夢の剣を折った手ごたえもあった。 主が麗夢の夢から抜けたとき、すぐ現実へ向かわれたのだろうか? それでも、開放されたその一瞬は恐怖を感じたはず。 あの懐かしい、凍てついた、鋭く、とてつもない恐怖を。 主の恐怖は、夢魔であっても恐れを抱く、巨大で強いものなのに。 嫌な予感がする。 ・・・・ あのときもこんな感じがした。 敵に引き渡される前だったか・・・ 祖国のために戦っているときは確かに主−いや神の加護を感じたのに・・・ 神と書かれた、その真名の意味する者は・・・ それになぜ日本? 確かに極東と言われ世界の果てかも知れないが・・ 確か聖母が救世主を生んだときにも、我々三人はこの国から旅立ったのではなかったか? 一体この国に何があるというのだ? 夢魔が生まれたのもこの国。 その凄まじい苦痛は天使さえも敵わなかったと云われる、主の生まれた場所。 一体主に何があったというのだ。 そして夢魔は思い知る。 主とはなんなのかを。 神という現象を。 〜光、光、求め、叫ぶ  闇から来る追跡者  Satan is now coming from darkside〜