なぜか麗夢の書斎に夢を封印する法術についての術書があった
「なぜ麗夢殿がこのような禁術を？」
円光は動揺を隠せなかった。不思議でならなかった。
それは円光自身も禁術としか知らされていなかった、幻ともいえる術だったためである。
円光はなにか手がかりが無いかと、その術書を読み始めた














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　　　夢獄　−ユメゴクー

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簡単に表せば、魔を夢の中に閉じ込めてしまう術である。
太古の昔、人々は殺し切れない魔、または敵わないほど強い魔を、夢の中に閉じ込めてきた。
夢に閉じ込められた魔は現実には干渉できなくなる。護人たちはこの術を切り札に魔と戦っていった。

夢とは閉鎖された空間であり、一定条件下でなければ他人の夢とは接続しない。
魔を内に閉じ込めた者が死に陥った場合、その夢も消え、魔も消えた。

だが、その者が眠りに落ちたとき、その者は魔に襲われてしまう。

そのために、魔を夢に閉じ込めた者は、

　夢を見ることがないように術をかけられた。

夢を見ることが無いため、その者は魔から干渉を受けることもなかった。

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円光は息をのんだ。

夢を見ることがない。　これは

　　　　　　−麗夢の夢そのものではないかー

だが、同時に恐ろしい考えが浮かんだ。
麗夢の夢に…

　　　　　　−恐ろしく強い、巨大な邪悪が存在しているー

この術書には肝心の術式が載っていなかった。
ちぎれて紛失してしまったのか？
だが、代わりにでも付け足したような、別の本が繋げられていた。

絶望的な結末を予想しながらも、まだ答えを出すのは早いと自分に言い聞かせながらそれに目を通した。