−夢操ー

そうだとも、奴らに屈服したくはない。
かならず根絶やしにしてやる。
ひとりずつ、じっくりと、いたぶって、ひきちぎって、

ーーー、

違う！
なぜだ？先ほどからのわたしの思考は？どうかしてしまったのか？


怒りが収まらない。どんどん強くなっていく。
体の中では強烈な「なにか」が暴れまわっている。




ずっと耐えがたい苦痛に襲われている。だが気絶することはない。
日ごろから鍛錬をかかさなかったためか、わたしはこの痛みに耐えている。
いったいいつまで続くというのか？
いったいどれくらいの時が過ぎたのか？
いったいわたしの体になにが起こったというのか？

頭が混乱していた。考えがまったくまとまらなかった。
だがー、



怒りの頂点に達したというのは、まさにこのことか？
わたしは我を忘れていたらしい。
気が付けば、


　　ー魔の肉塊の海に立っていたー


周りは肉、肉、肉片、脚、頭らしき残骸、眼球、
血、骨、死体、肉のかけら、ばらばらにされた…魔

なにが起こったのだろう？
わたしはなぜこんな死体の山の中にいるのだろう？
まったくわけがわからない。
あたまがぼおっとしている。

よく周りをみてみた。

ここは、拷問室のようだ。

ーー捕らえた魔を使いさまざまな試みを試す部屋だーー

すると、このモノたちは我々が今まで捕らえた魔か？
誰がここまで無残に葬ったのか？


すると、だだっと大勢の人がやってきた。みな剣や槍、弓を持って身構えている。
我が民族が誇る精鋭たちである。みなわたしと共に数多の魔を退けてきた。
その見覚えのある顔がみなこわばっていた。
そのすぐあとから大柄な男が現れた。

その男が問い掛けてきた
「これは…いったい何をやったんだ？唯恵」




すでに痛みはどこかへ失せてしまっていた。